万葉集3978番の原文、読み、作者、左注、事項をまとめます。
万葉集3978番について
歌番号
3978番
原文
妹毛吾毛|許己呂波於夜自|多具敝礼登|伊夜奈都可之久|相見<婆>|登許波都波奈尓|情具之|眼具之毛奈之尓|波思家夜之|安我於久豆麻|大王能|美許登加之古美|阿之比奇能|夜麻古要奴由伎|安麻射加流|比奈乎左米尓等|別来之|曽乃日乃伎波美|荒璞能|登之由吉我敝利|春花<乃>|宇都呂布麻泥尓|相見祢婆|伊多母須敝奈美|之伎多倍能|蘇泥可敝之都追|宿夜於知受|伊米尓波見礼登|宇都追尓之|多太尓安良祢婆|孤悲之家口|知敝尓都母里奴|近<在>者|加敝利尓太仁母|宇知由吉氐|妹我多麻久良|佐之加倍氐|祢天蒙許万思乎|多麻保己乃|路波之騰保久|關左閇尓|敝奈里氐安礼許曽|与思恵夜之|餘志播安良武曽|霍公鳥|来鳴牟都奇尓|伊都之加母|波夜久奈里那牟|宇乃花能|尓保敝流山乎|余曽能未母|布里佐氣見都追|淡海路尓|伊由伎能里多知|青丹吉|奈良乃吾家尓|奴要鳥能|宇良奈氣之都追|思多戀尓|於毛比宇良夫礼|可度尓多知|由布氣刀比都追|吾乎麻都等|奈須良牟妹乎|安比氐早見牟
訓読
妹も我れも|心は同じ|たぐへれど|いやなつかしく|相見れば|常初花に|心ぐし|めぐしもなしに|はしけやし|我が奥妻|大君の|命畏み|あしひきの|山越え野行き|天離る|鄙治めにと|別れ来し|その日の極み|あらたまの|年行き返り|春花の|うつろふまでに|相見ねば|いたもすべなみ|敷栲の|袖返しつつ|寝る夜おちず|夢には見れど|うつつにし|直にあらねば|恋しけく|千重に積もりぬ|近くあらば|帰りにだにも|うち行きて|妹が手枕|さし交へて|寝ても来ましを|玉桙の|道はし遠く|関さへに|へなりてあれこそ|よしゑやし|よしはあらむぞ|霍公鳥|来鳴かむ月に|いつしかも|早くなりなむ|卯の花の|にほへる山を|よそのみも|振り放け見つつ|近江道に|い行き乗り立ち|あをによし|奈良の我家に|ぬえ鳥の|うら泣けしつつ|下恋に|思ひうらぶれ|門に立ち|夕占問ひつつ|我を待つと|寝すらむ妹を|逢ひてはや見む
かな読み
いももあれも|こころはおやじ|たぐへれど|いやなつかしく|あひみれば|とこはつはなに|こころぐし|めぐしもなしに|はしけやし|あがおくづま|おほきみの|みことかしこみ|あしひきの|やまこえぬゆき|あまざかる|ひなをさめにと|わかれこし|そのひのきはみ|あらたまの|としゆきがへり|はるはなの|うつろふまでに|あひみねば|いたもすべなみ|しきたへの|そでかへしつつ|ぬるよおちず|いめにはみれど|うつつにし|ただにあらねば|こひしけく|ちへにつもりぬ|ちかくあらば|かへりにだにも|うちゆきて|いもがたまくら|さしかへて|ねてもこましを|たまほこの|みちはしとほく|せきさへに|へなりてあれこそ|よしゑやし|よしはあらむぞ|ほととぎす|きなかむつきに|いつしかも|はやくなりなむ|うのはなの|にほへるやまを|よそのみも|ふりさけみつつ|あふみぢに|いゆきのりたち|あをによし|ならのわぎへに|ぬえどりの|うらなけしつつ|したごひに|おもひうらぶれ|かどにたち|ゆふけとひつつ|わをまつと|なすらむいもを|あひてはやみむ
カタカナ読み
イモモアレモ|ココロハオヤジ|タグヘレド|イヤナツカシク|アヒミレバ|トコハツハナニ|ココログシ|メグシモナシニ|ハシケヤシ|アガオクヅマ|オホキミノ|ミコトカシコミ|アシヒキノ|ヤマコエヌユキ|アマザカル|ヒナヲサメニト|ワカレコシ|ソノヒノキハミ|アラタマノ|トシユキガヘリ|ハルハナノ|ウツロフマデニ|アヒミネバ|イタモスベナミ|シキタヘノ|ソデカヘシツツ|ヌルヨオチズ|イメニハミレド|ウツツニシ|タダニアラネバ|コヒシケク|チヘニツモリヌ|チカクアラバ|カヘリニダニモ|ウチユキテ|イモガタマクラ|サシカヘテ|ネテモコマシヲ|タマホコノ|ミチハシトホク|セキサヘニ|ヘナリテアレコソ|ヨシヱヤシ|ヨシハアラムゾ|ホトトギス|キナカムツキニ|イツシカモ|ハヤクナリナム|ウノハナノ|ニホヘルヤマヲ|ヨソノミモ|フリサケミツツ|アフミヂニ|イユキノリタチ|アヲニヨシ|ナラノワギヘニ|ヌエドリノ|ウラナケシツツ|シタゴヒニ|オモヒウラブレ|カドニタチ|ユフケトヒツツ|ワヲマツト|ナスラムイモヲ|アヒテハヤミム
ローマ字読み|大文字
IMOMOAREMO|KOKOROHAOYAJI|TAGUHEREDO|IYANATSUKASHIKU|AHIMIREBA|TOKOHATSUHANANI|KOKOROGUSHI|MEGUSHIMONASHINI|HASHIKEYASHI|AGAOKUZUMA|OHOKIMINO|MIKOTOKASHIKOMI|ASHIHIKINO|YAMAKOENUYUKI|AMAZAKARU|HINAOSAMENITO|WAKAREKOSHI|SONOHINOKIHAMI|ARATAMANO|TOSHIYUKIGAHERI|HARUHANANO|UTSUROFUMADENI|AHIMINEBA|ITAMOSUBENAMI|SHIKITAHENO|SODEKAHESHITSUTSU|NURUYOCHIZU|IMENIHAMIREDO|UTSUTSUNISHI|TADANIARANEBA|KOHISHIKEKU|CHIHENITSUMORINU|CHIKAKUARABA|KAHERINIDANIMO|UCHIYUKITE|IMOGATAMAKURA|SASHIKAHETE|NETEMOKOMASHIO|TAMAHOKONO|MICHIHASHITOHOKU|SEKISAHENI|HENARITEAREKOSO|YOSHIEYASHI|YOSHIHAARAMUZO|HOTOTOGISU|KINAKAMUTSUKINI|ITSUSHIKAMO|HAYAKUNARINAMU|UNOHANANO|NIHOHERUYAMAO|YOSONOMIMO|FURISAKEMITSUTSU|AFUMIJINI|IYUKINORITACHI|AONIYOSHI|NARANOWAGIHENI|NUEDORINO|URANAKESHITSUTSU|SHITAGOHINI|OMOHIURABURE|KADONITACHI|YUFUKETOHITSUTSU|WAOMATSUTO|NASURAMUIMO|AHITEHAYAMIMU
ローマ字読み|小文字
imomoaremo|kokorohaoyaji|taguheredo|iyanatsukashiku|ahimireba|tokohatsuhanani|kokorogushi|megushimonashini|hashikeyashi|agaokuzuma|ohokimino|mikotokashikomi|ashihikino|yamakoenuyuki|amazakaru|hinaosamenito|wakarekoshi|sonohinokihami|aratamano|toshiyukigaheri|haruhanano|utsurofumadeni|ahimineba|itamosubenami|shikitaheno|sodekaheshitsutsu|nuruyochizu|imenihamiredo|utsutsunishi|tadaniaraneba|kohishikeku|chihenitsumorinu|chikakuaraba|kaherinidanimo|uchiyukite|imogatamakura|sashikahete|netemokomashio|tamahokono|michihashitohoku|sekisaheni|henaritearekoso|yoshieyashi|yoshihaaramuzo|hototogisu|kinakamutsukini|itsushikamo|hayakunarinamu|unohanano|nihoheruyamao|yosonomimo|furisakemitsutsu|afumijini|iyukinoritachi|aoniyoshi|naranowagiheni|nuedorino|uranakeshitsutsu|shitagohini|omohiurabure|kadonitachi|yufuketohitsutsu|waomatsuto|nasuramuimo|ahitehayamimu
左注|左註
右三月廿日夜裏忽兮起戀情作|大伴宿祢家持
事項|分類・ジャンル
天平19年3月20日年紀|望郷|恋情|悲別|動物|枕詞|高岡|富山|孤独
校異
波->婆【元】【類】【紀】【細】|之->乃【元】【類】【細】|有->在【元】【類】【紀】
寛永版本
いももあれも,[寛]いももわれも,
こころはおやじ,[寛]こころはおやし,
たぐへれど,[寛]たくへれと,
いやなつかしく[寛],
あひみれば,[寛]あひみれは,
とこはつはなに[寛],
こころぐし,[寛]こころくし,
めぐしもなしに,[寛]めくしもなしに,
はしけやし[寛],
あがおくづま,[寛]あかをくつま,
おほきみの[寛],
みことかしこみ[寛],
あしひきの[寛],
やまこえぬゆき,[寛]やまこえのゆき,
あまざかる,[寛]あまさかる,
ひなをさめにと[寛],
わかれこし[寛],
そのひのきはみ[寛],
あらたまの[寛],
としゆきがへり,[寛]としゆきかへり,
はるはなの[寛],
うつろふまでに,[寛]うつろふまてに,
あひみねば,[寛]あひみねは,
いたもすべなみ,[寛]いともすへなみ,
しきたへの[寛],
そでかへしつつ,[寛]そてかへしつつ,
ぬるよおちず,[寛]ぬるよおちす,
いめにはみれど,[寛]いめにはみれと,
うつつにし[寛],
ただにあらねば,[寛]たたにあらねは,
こひしけく[寛],
ちへにつもりぬ[寛],
ちかくあらば,[寛]ちかくあらは,
かへりにだにも,[寛]かへりにたにも,
うちゆきて[寛],
いもがたまくら,[寛]いもかたまくら,
さしかへて[寛],
ねてもこましを[寛],
たまほこの[寛],
みちはしとほく[寛],
せきさへに[寛],
へなりてあれこそ[寛],
よしゑやし[寛],
よしはあらむぞ,[寛]よしはあらむそ,
ほととぎす,[寛]ほとときす,
きなかむつきに[寛],
いつしかも[寛],
はやくなりなむ[寛],
うのはなの[寛],
にほへるやまを[寛],
よそのみも[寛],
ふりさけみつつ[寛],
あふみぢに,[寛]あうみちに,
いゆきのりたち,[寛]いゆきのりたて,
あをによし[寛],
ならのわぎへに,[寛]ならのわきへに,
ぬえどりの,[寛]ぬえとりの,
うらなけしつつ[寛],
したごひに,[寛]したこひに,
おもひうらぶれ,[寛]をもひうらふれ,
かどにたち,[寛]かとにたち,
ゆふけとひつつ[寛],
わをまつと,[寛]われらまつと,
なすらむいもを[寛],
あひてはやみむ[寛],
巻数
第17巻
作者
大伴家持